宍道湖の漁業
宍道湖では「宍道湖七珍(しんじこしっちん)」と呼ばれる、食材として代表的な魚介類があります。そのなかでも「ヤマトシジミ」は日本一の漁獲量を誇ります。シジミ漁にあっては漁獲量や時間を設定したり、シジミを採るための漁具「ジョレン」の網目のサイズを決めたりして、シジミを獲り過ぎないように、そしてこれからも安定して漁獲できるようにしてきました。また、「馬鍬(まんが)」と呼ばれる道具を用いて、湖底の泥を耕し、シジミが生息しやすい環境作りもおこなわれています。
シジミ以外では「シラウオ」や「ワカサギ」も宍道湖七珍のなかまですが、その漁獲量は昔と比較するとずいぶん減っています。そのため、ワカサギの稚魚を育てる区域を湖に設けて、そこでは漁をしないようにしたり、稚魚を増やすことができるような研究が進められています。
このほかにも、ラムサール条約登録をうけて、漁師さんたちによる湖底のゴミ回収や湖岸清掃の活動などもおこなわれています。これからも安定して漁業の恵みを受けるために、水質の監視は重要です。
シジミ漁で用いる漁具「ジョレン」馬鍬で湖底の耕運を行っているところ
中海の漁業
中海では、宍道湖と比べて水の塩分濃度が高いことから海でみられる生きものたちも多く漁獲されます。昭和30年代までは「サルボウ」と呼ばれる貝がたくさん漁獲されていましたが、今ではみることは難しいです。現在、地元の人を中心に、中海にサルボウを復活させる取り組みが始まっています。
また、今から100年くらい前の中海には「アマモ」と呼ばれる海草がたくさん繁茂していました。アマモは「モク」、「モバ」と呼ばれ、全国的に畑の肥料として重宝されていました。今のように化学肥料も十分ではない時代には、目の前の湖から獲れて金肥などよりはるかに安い「アマモ」は農業において重要な役割をもっていました。
一方で、湖の中で育った有機物=アマモを人間が定期的に刈り取って湖から出すことは、湖の水質にとってもたいへん重要な意味をもちます。そのまま置いておくと、植物は枯れてしまい、水中の有機物が増えすぎることになります。現在、アマモは中海でも一部の地域でしか生息が確認されていません。このアマモを中海に復活させて、かつての豊かな中海の環境を取り戻す取り組みも始まっています。
「食」と宍道湖・中海の生きものたち
宍道湖と中海は大橋川でつながった双子のような湖ですが、そこにくらす生物相は異なっています。
宍道湖では、ヤマトシジミを含む「宍道湖七珍(しんじこ しっちん)」と呼ばれる魚介類が漁業の対象として有名です。宍道湖七珍とは以下の魚介類のことを指し、
●「す」・・・スズキ
●「も」・・・モロゲエビ(ヨシエビの地方名です。)
●「う」・・・ウナギ
●「あ」・・・アマサギ(ワカサギの地方名です。)
●「し」・・・シラウオ
●「こ」・・・コイ
●「し」・・・ヤマトシジミ(シジミの「し」をとったものです。)
と、おぼえます。
「宍道湖七珍」を用いた料理
「コノシロ」を使った料理
一方中海では、中海の魚介類にもっと目を向けてもらうために、中海を代表する魚介類7種をみんなで選び、「中海七珍」と名づけて、積極的に中海の生きものを食べて環境に目を向けようという取り組みが始まっています。
中海七珍とは以下の魚介類で、こちらは地元の呼び名で紹介されています。
●「マーカレ」 ・・・コノシロ
●「ゴズ」 ・・・マハゼ
●「エノハ」 ・・・ヒイラギ
●「クロメバル」・・・クロソイ
●「オダエビ」 ・・・ニホンイサザアミ
●「アオデ」 ・・・タイワンガザミ
●「アカバイ」 ・・・コナガニシ
秋の風物詩「マハゼ」
七珍以外で復活が待たれる「サルボウ貝」
残念なことに宍道湖七珍も中海七珍も、今では気軽に味わうことはできなくなりました。
しかしながら、宍道湖・中海にはほかにももっとたくさんの魚介類が生息しています。このような生きものを、もっと地域で消費していくことも必要なことです。
